グリストラップが詰まる原因と予防方法をご紹介します

レストランやカフェといった飲食店の業務用厨房には、油脂分を分離するグリストラップの設置が事実上義務付けられています。水と一緒に油脂分を下水道に流してしまうことのないようにするのが、グリストラップの設置目的です。環境のためにも必要なグリストラップですが、悪臭や排水管詰まりといった問題が出てくることもあります。

グリストラップが詰まってしまう原因や対処法、予防するポイントを紹介します。「排水管詰まり」を引き起こさないためには、こまめな清掃が重要です。その目安となる頻度を守っていても詰まってしまった場合には、業者に依頼することもできます。

グリストラップの詰まりの原因

家庭でも洗面台やキッチンの排水口にゴミが溜まると、詰まってしまうことがあります。詰まりを引き起こさないように、こまめにゴミを取り除いたり清掃したりするはずです。業務用厨房のグリストラップが詰まってしまう原因とは、具体的にどのようなものが考えられるのでしょうか。

生ゴミの蓄積

生ゴミは、シンクのバスケットやネットによって集められるようになっています。バスケットでしっかり生ゴミがキャッチされていればよいのですが、グリストラップの内部に入ってしまうと詰まりの原因になります。

バスケットはもちろん、グリストラップ内部にも生ゴミが混入していないかどうかを確認する必要があります。詰まっていないとしても、生ゴミが蓄積すると悪臭の原因にもなるため、こまめに清掃するようにしましょう。

油汚れ

下水道に流れる水と、油脂分を分離する役割を果たしているのがグリストラップです。飲食店では家庭とは比べものにならない量の料理を作るため、しつこい油汚れが詰まりの原因となってしまうことがあります。油脂分が混ざった排水が管を通ることで、管の内部で水の流れを遮って詰まってしまうのです。

排水に混ざっている油脂分は、管の中で気化して管の上部に汚れとして蓄積されていきます。これが長い間続くと水の流れをさえぎってしまい、グリストラップがつまってしまいます。放置することで固まっていき、表面をどんどん油汚れが覆っていくため気付いたときには素人ではお手上げといった状態になってしまうこともあります。

油汚れは蓄積することで清掃が難しくなるため、できるだけこまめに清掃するようにしましょう。

異物混入

グリストラップが詰まってしまう原因として、異物混入も考えられます。お客様のテーブルから下げてきた食器におしぼりや割り箸が隠れていて、一緒にシンクに置いてしまうこともあります。飲食店では、大量の食器を急いで洗わなければならないため、気付かずにおしぼりや割り箸を排水管に流してしまうこともあります。

3槽構造にもなっているグリストラップで、3槽すべての部分を異物が通過することはまれですが可能性は否定できません。もし下水道まで届いて詰まってしまうと、復旧までに時間や費用がかかってしまいます。異物が流れていないかこまめに確認することはもちろん、定期的にグリストラップ内部のチェックや清掃を行うようにしましょう。

グリストラップの詰まりを抜く方法【応急処置】

グリストラップが詰まってしまった場合、できるだけ早く詰まりを抜きたいですよね。店内に悪臭が漂ってしまう可能性もありますし、水があふれてしまっては大変です。しかし「業者に依頼すると費用がかかりそう……」という場合は、まずは応急処置をしてみましょう。

ラバーカップを使う

トイレが詰まってしまったときに、よく使われるのがラバーカップです。グリストラップもトイレと同じように、ラバーカップで詰まりが抜けることがあります。長期間放置していた頑固な詰まりには効果がない場合もありますが、軽い詰まりであれば解消される可能性があります。もしものために、ラバーカップを常備しておくとよいかもしれません。

そのラバーカップの形状にはいくつかの種類があるため、排水口に合ったものを使うとより詰まりが抜けやすくなります。排水口を覆うようにラバーカップを押し当て、密着させながら圧力をかけていきます。圧力をかけたラバーカップを引き上げ、この工程を何回か繰り返すことで詰まりが解消されます。

油分を溶かす専用洗剤を流す

グリストラップの詰まりを抜くための専用洗剤が、数多く販売されています。水と油脂分を分離するためのグリストラップでは、油汚れが詰まりの原因となっていることが多いですが、専用の洗剤を使うことで水が乳化してさらさらになります。

しかし乳化させてさらさらになったということは、油脂分を分離するのではなく、水に溶けたように見えて油脂分を流してしまっています。例えば、ドレッシングは冷蔵庫から出してすぐは油と水分が分離していますが、振ると乳化して油と水分が混じり合います。

洗剤を使えばすぐに詰まりが解消されるかもしれませんが、乳化の効果が薄れて排水管の内部で油脂分が固まってしまうと、再度つまってしまうことも考えられます。グリストラップの詰まりを解消する専用洗剤は、あくまでも応急処置として使用するようにしましょう。

グリストラップの詰まりを抜く方法【専門業者の処置】

グリストラップが詰まってしまった場合に、試してみたい応急処置をご紹介しました。応急処置だけではまた詰まってしまうこともあるため、早めに専門業者に依頼することをおすすめします。専門業者に依頼した場合の処置がどのようなものなのかをご紹介します。

多重ワイヤーを使う

多重ワイヤーとは、何本もの線材を巻いたワイヤーです。ヘッドにカッターや高圧ジェットがついています。太さが約6ミリから10ミリ、長さが約10メートルから20メートルと幅広く、硬さや材質などもさまざまな種類があります。

グリストラップが詰まったときは、排水管に多重ワイヤーを通して油汚れなどを取り除くことで詰まりが解消されます。頑固な汚れの場合は太いワイヤーが管を通らないこともありますが、細いワイヤーでは貫通した部分が狭いため、またすぐに再発することもあります。

業者によって作業内容は異なりますが、詰まりが解消されたらそれで終わりではありません。しっかり内部まで確認し、原因を特定してくれるような業者を見つけることをおすすめします。

高圧洗浄機を使う

排水管に溜まった油脂分を取り除くために、高圧洗浄機を使うこともあります。高圧洗浄機は、排水管の中にこびりついた汚れを水圧で取り除く方法です。油汚れや生ゴミ、異物なども取り除くことができ、効果が高いのが特徴です。

高圧洗浄機で排水管の汚れを落とし、グリストラップ本体、仕切り板やバスケットなどの汚れも同じように高圧洗浄機で洗い流します。

定期的な清掃の一つとして高圧洗浄機を使うと、詰まりを引き起こしにくくなります。高圧洗浄機はホームセンターなどで購入できますが、水圧が弱いと油汚れを落とすことができません。万が一、排水管を傷つけてしまっては大変なので、高圧洗浄機での清掃は業者に依頼するようにしましょう。

グリストラップの詰まりを予防するポイント

グリストラップが詰まってしまったときには、まず自分で応急処置をしましょう。それでも解消されなければ業者に依頼することをおすすめします。しかし、グリストラップが詰まらない状態を保つことも大切です。そこで、詰まりを予防するためのポイントをご紹介します。

日頃からグリストラップを清掃する

グリストラップは油汚れや生ゴミが溜まっているため「できるだけ清掃したくないな……」と思うかもしれません。しかし、汚れが蓄積される前に定期的に清掃することで、詰まりを予防できます。長期間放置していると1回の清掃に時間がかかってしまったり、不快な思いをしたりしながら清掃しなければならなくなります。

また、清掃をしていないとグリストラップの機能が低下し、油脂分を分離していない排水が流れる原因になります。生ゴミがバスケットに溜まりすぎると、排管にまで流れてしまうこともあります。ほかの清掃と同じように、グリストラップも普段からきれいな状態を保つようにしましょう。

正しい位置に正しい部品が付いているか確認する

グリストラップは第1槽から第3槽までの3槽構造になっています。第1槽で生ゴミなどを取り除き、第2槽で水と油脂分を分離、第3槽でさらに分離して油脂分を含まない水を下水道に流します。

グリストラップは、生ゴミをキャッチする「バスケット」槽を隔てる「仕切り板」油脂分を取り除いた水を流すための「トラップ管」などの部品があります。それぞれが重要な役割を果たしているため、部品が正しく付いていなければ水と油脂分を分離することができません。

グリストラップが詰まらないように、正しい位置に正しい部品が付いているかどうかを確認しましょう。

居抜き店舗の場合はグリストラップの状況を確認する

飲食店を開業しようと思ったときに、建物を建てるところから始めると莫大な費用がかかります。そこで初期費用を抑えるために、前に飲食店が使っていた物件を利用することがあります。そのことを「居抜き」といいます。外装や内装がそのままの場合もあれば、改装直後のもの、これから改装が必要なものまでさまざまです。

居抜きの場合は、前の飲食店が使っていたグリストラップをそのまま利用することが多いでしょう。設置するためには費用がかかるため、居抜きで既に設置されていると助かります。しかし、前の飲食店が清掃を怠っていた場合は、すぐに詰まってしまうことも考えられます。

開店早々グリストラップが詰まった……ということになっては大変です。前もってグリストラップの状況を確認しておきましょう。

グリストラップの詰まりを予防する清掃目安

グリストラップが詰まってしまうと、手間や費用がかかります。悪臭を予防するためにも、できる限りの対策はしたいものです。グリストラップの詰まりを予防するためには、どれくらいの頻度で清掃をすると良いのでしょうか。清掃する箇所や内容ごとに、目安となる頻度をご紹介します。

バスケットの清掃は毎日行う

お皿に残った残飯などの生ゴミが排水管やグリストラップに流れてしまうと、詰まりの原因になってしまいます。生ゴミの流入を防ぐためにバスケットがありますが、ここに生ゴミが溜まってしまったり、網の目にゴミが詰まってしまったりすると、水の流れが悪くなってしまいます。

バスケットにネットをかぶせておくと、ネットを交換するだけで生ゴミを取り除くことができます。さらにきれいな状態を保つために、網の目まで清掃することをおすすめします。このような手順で、バスケットの清掃は毎日行うようにしましょう。

油脂分の除去は2〜3日に1回程度

グリストラップの第2槽と第3槽で、水と油脂分の分離が行われます。油脂分には小さなごみが混ざっていることがあり、これも詰まりの原因になります。ひしゃくなどですくったり、専用のシートで吸着したりする方法で取り除きましょう。また、植物性のものよりも動物性の油脂分のほうが固まりやすいため、特に気を付けて除去する必要があります。

油脂分を除去する作業はできるだけ毎日行うことを推奨しますが、少なくとも2〜3日に1回は必ず行うようにしましょう。

沈殿物の除去は2〜3日に1回程度

第1槽のバスケットに引っかからなかった小さいゴミは沈殿します。沈殿した汚泥は悪臭の原因ともなりますので、油脂分のかたまり同様2〜3日に1回以上は除去作業をしましょう。時間が経つとヘドロのような汚泥になるため、ひしゃくなどですくって除去します。

トラップ管内の清掃は2~3カ月に1回程度

トラップ管は、第1槽から第3槽までの工程で沈殿物や油脂分を取り除いたあとに水が通る場所です。そのため、清掃頻度は少なくて問題ありません。トラップ管に蓋がある場合は蓋を外し、たわしなどで擦って汚れを落とします。トラップ管内の清掃は2〜3カ月を目安に行うようにしましょう。

グリストラップが詰まった際には専門業者に依頼しよう

グリストラップが詰まってしまうと、悪臭を放ったり水浸しになったりすることもあります。ラバーカップや洗剤などを使って、自分たちで応急処置をすることもできます。しかし、間違った方法では、詰まりの悪化や破損につながってしまう可能性もあります。最低限の処置をしたあとは、専門業者に依頼することをおすすめします。

まとめ

飲食店には油脂分を下水道に流さないように、水と油脂分を分離するグリストラップというものが設置されています。グリストラップが詰まってしまうと悪臭を放ったり、水浸しになってしまったりすることもあります。グリストラップが詰まる原因として、生ごみの蓄積や油汚れ、異物混入などが考えられます。

グリストラップが詰まってしまうと、ラバーカップや専用の洗剤で詰まりが解消することもあります。自分たちで応急処置をすることもできますが、詰まりの悪化や破損につながらないよう、専門業者に依頼することをおすすめします。

詰まりを引き起こしてからではなく、予防のためにも定期的な清掃も行うようにしましょう。アイエスジー株式会社は、作業件数最大級の業者です。関東を中心に広域にグリストラップの詰まりや定期的な清掃に対応しています。

また、詰まりを引き起こす油脂分や清掃の際に除去する汚泥は「産業廃棄物」です。アイエスジー株式会社は、優良産廃処理業者でもありますので安心してお願いできます。