グリストラップの清掃を行う上で知っておきたい水抜きの重要性

グリストラップの水抜きを定期的に行い、こびりついた汚れを除去するのは重要な作業です。同時に部品が壊れていないかを確認すればグリストラップの寿命を伸ばすことや万が一のトラブル回避につながるメリットがあります。

飲食店などが一定の油分を含んだ汚水を下水に流すと、法律で罰せられる恐れもあります。グリストラップの水抜きを行ってしっかりと清掃を行っておかないと、分離する機能が十分に発揮されず排水が定められた基準値を超えてしまう危険性があるのです。

ここでは、グリストラップの清掃における水抜きの重要性を解説していきます。定期的に水抜きをして汚れを落とし、グリストラップの機能を正常に保つように心がけましょう。

グリストラップの水抜きが必要な理由

グリストラップの機能を正常に保つには、水抜きをして定期的に汚れを落とすことが大切です。常に一定の水が溜まっている状態のためしっかり汚れを落とすことが難しいつくりになっています。

そのため、定期的に水抜きをして壁面や底部分もしっかり洗う必要があります。また、水抜きをした際に部品が消耗していないか確かめる作業も重要です。

悪臭によるトラブル回避

グリストラップの水抜きを定期的に行わないと、長時間に渡って停滞した汚水や、こびりついたしつこい汚れが原因で悪臭が発生する可能性が高くなります。

万が一グリストラップからの悪臭が店内に流れ込んだ場合、店舗の評判を悪くして客足が遠のいてしまう可能性もあるでしょう。また、厨房で働く従業員のモチベ―ションが下がるなど、悪臭によるさまざまな悪影響が考えられます。

グリストラップは、排水から油分を分離する仕組みのため、酸化した油分がこびりつきやすくなっています。本体の底部には悪臭の原因となる汚泥が溜まりますので、定期的な水抜きをして、汚泥をできるだけ取り除くことも大切です。

害虫によるトラブル回避

グリストラップの中は、油分やゴミが蓄積するため、しっかりと汚れを除去しないとコバエやチョウバエなどの害虫が発生する恐れがあります。グリストラップ内部には、生き物の生存に不可欠の水分と栄養分となる油分の両方が存在します。定期的に水抜きをして汚れを取り除かないと、たとえ冬であっても害虫が大量に発生する場合があるのです。

グリストラップ内で害虫が大量発生すると、時間がたつにつれて繁殖場所を移動していくため、短期間で一度に駆除するのは難しくなります。客席のほうまで虫が飛んで行くと店の衛生管理に疑問を持たれかねません。従業員にも不快感を与えることでモチベーションの低下を招く恐れもあるので注意が必要です

グリストラップの詰まりの回避

グリストラップ内は3槽に分かれており、1槽目はゴミを取り除くバスケットが設置され、2槽目には水面に油分が溜まる構造となっています。バスケットのゴミは毎日捨て、2槽目の油分は数日おきにすくって取り除くのが基本です。

これを怠ると、ゴミや油分が「トラップ配管」に流れ込み、下水にそのまま汚水が流れてしまいます。さらには排水管が詰まってしまう危険があります。

グリストラップ内の詰まりが発生すると、汚れた水が逆流して厨房内が水浸しになります。不衛生な環境に変貌し、悪臭が発生するだけでなく、排水が流れなく調理作業に影響が出る場合もあります。水抜きをして掃除をすると、トラップ配管内の汚れも取り除くことができます。詰まりがないかどうかの確認をすることもできるでしょう。

水質汚染の回避

飲食店やスーパーなどの店舗は、グリストラップを使って排水から油分を分離し、基準値内に抑えた水を下水管に流すことで水質汚染を防止しています。

しかし、内部にこびりついた油分や底面に蓄積した汚泥を取り除けていないと、すぐにまた汚れが蓄積してしまいます。そのため、グリストラップの機能が衰えて油分を分離しきれず、汚い水がそのまま排水されてしまう恐れがあります。

油分を分離して、安全な水質基準を満たした排水を下水に流すことは法律上の義務です。たとえグリストラップの不具合であったとしても、基準値を超えた汚水を流した場合は罪に問われる恐れもあります。

グリストラップの水抜きと清掃を決まった頻度で行い、こびりついた油分や底面にたまった汚泥を取り除くことで、基準を満たしたきれいな排水を流すことができます。

グリストラップの水抜きを行う際に使う道具

グリストラップの水抜きをして清掃をする際には、適切な道具を使うとより効率的に汚れを除去することができます。特にトラップ管が詰まるとさまざまなトラブルが出てきてしまいます。道具を使ってきちんと汚れを落とし、汚泥や油分を蓄積させないことが大切です。

ワイヤー

グリストラップのトラップ管に油分や汚泥がこびりつくと、水の流れが悪くなってしまいますので、ワイヤーを通して掃除する方法がひとつあります。トラップ管は一見すると詰まっているかどうかがわからず、実際に水の流れが悪くなったときには詰まりがかなり進行し、手に負えない状態であることも多々あります。

このような詰まりを防ぐためには、水の流れがスムーズであっても定期的にトラップ管の汚れを専用ワイヤーで落としておくことが大切です。ただし予防策であれば市販品でも対処可能ですが、固着した油を落とすには市販品では強度が足りません。

詰まってしまっている状態だと、油が排水管に固着してしまっている可能性が高いので、状況に合わせてプロの技術に頼ることも検討しましょう。

ローポンプ

ローポンプは「圧力ポンプ」とも呼ばれ、排水管が詰まっているときや流れが悪いときに利用する道具です。キッチンやトイレなどの排水管が詰まったときラバーカップを使うことが一般的ですが、原理は同じです。

ラバーカップは先端のゴム部分でスポスポと詰まりを解消していきますが、ローポンプは長い筒状なので吸引力がより強力になります。また先端部分を排水管の深さや形状に合わせて交換できるので、T字のトラップ管にも対応できます。

サイズも消火器よりも小さく、レバーを引くだけなので女性でも簡単に扱えます。トラップ管だけでなく、シンクやトイレなどでも使えます。1つ常備しておくと、さまざまな排水トラブルに活用できて便利でしょう。時間の短縮になったり、ラバーカップのように周りに水が飛び散ったりすることもないので、忙しい飲食店向きです。

ただし、グリストラップの場合は部品を外して不具合が発生することもあります。ローポンプは緊急対処の道具として利用し、つまりがある場合は専門業者へ連絡しましょう。

消臭剤

グリストラップの水抜きに限らず、グリストラップの蓋を開けると溜まった油脂や汚泥から悪臭が漂います。そのため、消臭剤を使いながら作業するとよいでしょう。清掃は閉店後に行うことが多いものの、発生した悪臭が店舗に広がるとさまざまな悪影響が出てしまいます。

グリストラップ用の消臭剤は酵素を使った環境に優しいものが多く、油分やヘドロを分解してくれる効果がある消臭剤もありますので、上手に活用するようにしましょう。

水抜きする際に知っておきたいグリストラップの構造

グリストラップは大きく分けて「第1槽」「第2槽」「第3槽」の3つに分かれており、それぞれに役目があります。第1槽は「野菜くずや残飯など、流れてきたゴミをキャッチするところ」第2槽は「水分と油分を分離するところ」第3槽は「油分を取り除いた水を下水に排水するところ」となっています。

このように各槽が機能的に働くためには、「バスケット」「仕切り板」「トラップ管」といった重要パーツがカギです。これらが揃って機能しないとグリストラップとして意味を成しません。次にこの重要パーツについて解説していきます。

バスケット

第1槽は、厨房から流れてくる水が最初に通るところで、網目状のバスケットが設置されています。排水がこのバスケットを通ることで野菜くずや残飯などが取り除かれ、第2槽へ向かうことになります。このバスケットにはさまざまな汚れがすぐに溜まるため、毎日掃除を行ってゴミを取り除くことが大切です。

仕切り板

仕切り板とは、グリストラップを3つの槽に区切っている板のことです。上下にスライドして動かせるようになっています。厨房から流れていた水には勢いがありますが、この仕切り板にぶつかることにより水の勢いを弱めることができます。

厨房から流れてきた排水を水と油分に分離するためには、排水をある程度長い間グリストラップ内に留まらせる必要があります。槽と槽の間にこの仕切り板があることで、水の勢いを弱めて滞留させ、油分を効果的に分離させることができます。

トラップ管

トラップ管は、油分が分離された水を下水道などに流す役割があります。第1槽、第2槽を通ってきれいになった水はトラップ管を通じて外部に排出されるのです。トラップ管は常時水に浸かった状態になっており、排水を流すだけではなく、排水溝からネズミやゴキブリなどが侵入するのを防いでくれています。

トラップ管を通る水は油分や汚泥などがすでに除去してあり、ある程度きれいな状態となっています。しかし、トラップ管の掃除をしないとヌメリや油分が少しずつ溜まり、水の流れが悪化して詰まってしまうこともありますので注意が必要です。グリストラップの水抜きをした際にトラップ管の掃除も忘れずに行いましょう。

グリストラップの水抜きを行う際のチェック項目

グリストラップの水抜きを行うと、普段水で浸かって見えないところまでしっかりと目視で確認することができます。日ごろからグリストラップの清掃を行っているつもりでも、今まで見えなかった汚れが蓄積していることもあります。

水抜きをしたときには汚れが蓄積して詰まりが発生していないか、不具合が起こっているところはないかをしっかりとチェックすることが大切です。

グリストラップの状態

グリストラップの機能を正常に保ち、排水からしっかりと油分を分離させるためには、汚れ具合に加えて部品の状態も確認することが大切です。グリストラップの部品としては本体のフタや第1槽のバスケット、スライド板、第3槽のトラップ管などが挙げられます。

特にフタ付きのトラップ管の場合は、フタが壊れていると悪臭が外にもれることがあります。トラップ管を伝って外部から害虫が侵入してくることもありますので破損していないかを必ずチェックしましょう。

排水詰まりの程度

トラップ管に油脂や汚泥などの汚れがこびりついている場合、排水の流れが悪くなってしまうことがあります。

水抜きをして清掃する際には水の流れはスムーズかどうか、流れが悪くなっている場合は詰まりの程度はどれくらいかということを確認する必要があります。水が全く流れないほど詰まってしまった場合は、営業を停止せざるを得ないなど大きな影響が出るケースもあります。

詰まってしまってからでは手遅れになることも多く、大規模な下水道の工事が必要で費用がかさむ場合もあるのです。清掃のたびに排水詰まりの程度を確認しておくようにしましょう。

掃除の頻度

グリストラップを水抜きして掃除する頻度は、店舗の業態や規模によって変わります。通常は数か月に1回とされていますが、油をよく使う店舗や来客数の多い店舗は油脂汚れが蓄積しやすい状態となっていますので、こまめに掃除するようにしましょう。

水抜きをして掃除をする際には、汚れの蓄積具合をしっかりと確認しましょう。思っていたよりも汚れが溜まっており、トラップ管まわりの油脂のこびりつきなどがひどかった場合は、清掃頻度を多くすることも検討することが大切です。

グリストラップの汚れ具合を確認し最適な頻度で清掃を行わないと、トラップ管が詰まるなどの深刻な状態になる場合もあります。掃除の際にはグリストラップの状態をこまめに確認し、今後の清掃頻度を考えるようにしましょう。

悪臭等のトラブルの有無

グリストラップから出る悪臭は、店舗の運営に大きな影響を及ぼします。店舗で働く社員のモチベーションを下げてしまうことにもなりかねないため、未然に防ぐ必要があります。グリストラップの水抜きをして清掃をする際には、過度な悪臭が発生していないかをしっかりと確認するようにしましょう。

定期的に清掃をしていても悪臭が出るという場合は、細かな汚れを取り切れていない可能性があります。従業員による掃除には限界がありますので、対処しきれないトラブルが発生した場合は、プロの業者に状態を確認してもらいましょう。

トラブルの状態によっては、迅速に清掃業者に対応してもらう必要のあるケースもあるでしょう。何度掃除しても発生する悪臭や、どうしても取れないようなしつこい油脂汚れがあるときには、プロの業者に相談することをおすすめします。

掃除にかかる費用

グリストラップの掃除にかかる費用は、業者に委託するかどうかによって変わってきます。自分達で掃除する場合は比較的安く済みますが、思ったような効果が得られない恐れもあります。ワイヤーやローポンプ、消臭剤などの専門用具の購入で想像以上に費用がかさむ場合もあります。

専門業者の場合は、強力なバキュームを使ったり油脂の除去には効果的な業務用洗剤を使ったり、自分たちで行うよりも短時間で効果的にグリストラップをきれいにすることができます。費用対効果をよく考えて検討しましょう。相場がわからなければ、まずは現場を見てもらって見積もりをもらうとよいでしょう。

グリストラップの水抜きなどを行う際は業者に依頼するのがおすすめ

グリストラップの水抜きをして、すみずみまで掃除するのは重要ですが、大変な作業です。悪臭や害虫、排水詰まりなどのリスクが心配であれば、業者に委託するのがおすすめです。自分たちで掃除を行うのもよいですが、どうしても汚れの取り残しが出てしまいます。部品の破損や不具合にも対応できないという弱点もあります。

さらにグリストラップの掃除は、肉体的にも精神的にも大きな負担となるものです。専門業者に委託すると従業員のストレスが減り、本来の仕事に集中することができます。

アイエスジーはグリストラップ清掃業者としては作業実績最大級です。さまざまなケースでグリストラップの清掃を行ってきた実績がありますので、確かなサービスとサポートを受けることができます。グリストラップのトラブルで困っているときの強い味方は、アイエスジーです。

まとめ

店舗の排水から「油分」をしっかりと分離して水質基準を満たした排水にするためには、定期的にグリストラップの水抜きをして徹底して掃除することが大切です。

日常的に自分で掃除しているつもりでも、汚れが取り切れず蓄積してしまうことも少なくありません。汚泥や油分が溜まると排水詰まりや悪臭、害虫の発生など深刻なトラブルにつながる場合もあります。また、グリストラップの掃除は、肉体的と精神的に負担が大きく、従業員にとってストレスとなることもあるでしょう。

グリストラップの掃除をしっかりと行って、トラブルの発生リスクを避けるためには専門業者に依頼するのがおすすめです。お困りの際は、グリストラップ作業実績が最大級のアイエスジー株式会社にご相談ください。