グリストラップの油を固めると簡単に処理できるのか

店舗のスタッフのみで清掃をしていたり、清掃していない期間が続いたりすると、汚れが落ちずに悩んでしまうこともあるでしょう。だんだんとグリストラップの油が溜まってくると、固めて除去する方法を知りたいと考えている人もいるのではないでしょうか。

家庭用の油も固めて処理する方法があります。グリストラップに溜まる油は量が多いですが、正しく処理することで簡単にグリストラップ内から除去できます。そこで今回の記事では、グリストラップの油を固めて処理する方法をご紹介します。短い時間で清掃できるようになるので、普段の清掃に取り入れてみましょう。

グリストラップの油を固める方法は?

グリストラップの清掃で大変な作業が、油脂分と汚泥の除去です。グリストラップに溜まる油脂分は大容量となるため、家庭用の廃油のように固めることはできません。しかし、油を吸着させるシートを使うことで簡単に処理できます。

グリストラップの構造上、油は上部のみで下部は残渣物を含んだ水です。シートを浮かせることで、効率よく上部の油のみを取り除くことができます。ただし、吸い取る油の量は家庭用の比ではありませんので、一般ゴミとして処理は望ましくありません。シート自体は可燃ゴミですが、油を吸わせた後のシートは産業廃棄物としての処理がよいでしょう。

グリストラップの仕組みと清掃方法

効率よく清掃するために、グリストラップの仕組みと清掃方法について解説していきます。「厨房からの排水がどのように流れていくのか」といった仕組みを知ることで、清掃のポイントを明確にできます。バスケットやトラップ管などグリストラップの各部分が果たしている役割と、それぞれの清掃方法について確認しておきましょう。

グリストラップの仕組み

グリストラップは、厨房から流れ込んだ排水の油脂を回収する装置です。油脂を回収している仕組みは、油が水面上に浮く性質を活用しています。

グリストラップ内は、まずバスケットというカゴで残飯や野菜くずを分別します。固形物がバスケットに残り、水分のみが次の槽に流れ込んでいきます。そこで油分と水分とで分離させます。

第二槽と第三槽の間にあるスライド板がせき止めの役割を果たし、油脂のみが第二槽に残り、中間水が第三槽に流れ込みます。第三槽にもまだ多少油分が残っているので、トラップ管で油脂を避けて中間水を下水へ流す仕組みです。この仕組みによって厨房からの排水をそのまま下水に流すことなく、油分のみを回収して排出できます。

グリストラップのバスケット清掃の頻度と方法

グリストラップのバスケット部分の清掃方法について解説します。バスケットに溜まるゴミは生ゴミですので、腐敗する前に毎日1回は清掃を行うことがポイントです。手間がかかる作業ではありますが、専用のネットを活用すると処理がラクになります。

バスケット内に溜まったゴミを放置していると、悪臭が厨房内に蔓延してしまいますので注意しましょう。

グリストラップに浮いた油の清掃頻度と方法

グリストラップの第二槽では流れ込んだ排水の油分が水面に浮いています。水面の油は2〜3日に1回を目安に清掃しましょう。

基本的にはひしゃくやストレーナーで油脂をすくい上げて処理します。場合によっては浮いている油が処理しづらいこともあるかもしれません。そのときは、油を吸い取るシートを使うと清掃しやすくなります。ひしゃくやストレーナーでなかなか取れきれない場合は、このようなアイテムも試してみるとよいでしょう。

グリストラップのトラップ管の清掃頻度と方法

グリストラップのトラップ管は2〜3カ月に1回の頻度で清掃しましょう。トラップ管に関しては、普通に使用していればそこまで汚れることはありません。第一槽、第二槽と工程を進んできているので、清掃もラクです。

ただ、数ヶ月間トラップ管を清掃せずに放置しておくことは危険です。全く汚れが付かないわけではないので、油脂分が固着して詰まりの原因となってしまいます。

柄の長いブラシを使用して、清掃するようにしましょう。蓋がある場合は蓋を取って奥までキレイにしておくと安心です。

グリストラップ清掃業者への委託

グリストラップは上記でご紹介したとおりに清掃すれば自分たちでも清掃できますが、一般の方の清掃のみでは取れない汚れや臭いもあります。細かい汚れや、しばらく放置したことによる強い油はなかなかキレイにできないケースも多いものです。そのため、年に数回はプロの業者に依頼して清掃することが推薦されています。

アイエスジーでは、バキュームカーや狭いところでも使用できるポータブルバキュームでキレイに処理することができます。プロのスタッフが清掃を行うため、スタッフが清掃することによる体への負担も軽減できるため、定期的に依頼するケースが増えてきています。

数年に一度は蓋の傷み具合もチェックしよう

グリストラップを長年使用していると、蓋も痛んできます。一般的には鉄製なら5年、ステンレス製なら10年で交換するという目安があります。

ただし、グリストラップを設置している環境によって痛むペースはそれよりも早いケースもあります。清掃時に蓋の傷み具合も一緒にチェックして、数年に1回は交換するようにしましょう。交換方法としては、傷んで蓋が歪んできた場合は鉄工所に発注します。専属の清掃業者があれば、清掃業者に交換を依頼することもできます。

グリストラップの油を「溶かす」のは環境に悪影響

グリストラップの油脂分は、シートに吸わせることで効率よく作業できます。しかし、それでも「取り除く作業」自体が面倒と思う方もいるでしょう。グリストラップの清掃用品の中には「油を溶かす」とうたっている商品もありますが、注意が必要です。

油を溶かして排出するということは、油分も一緒に流すことになります。油を溶かした水を排出すると、河川や海に悪影響を及ぼし、環境問題が生じる可能性が高くなります。以下で、グリストラップの油を溶かすことに関連する問題を確認しましょう。

グリストラップの油を溶かす洗剤やお湯で流す方法も紹介されている

グリストラップの清掃用品を調べてみると、油を溶かす洗剤やお湯で流す方法を紹介しているところがあります。油を溶かしたり、お湯で流したりする方法を試してみると確かにグリストラップの油分がサラサラになって流れていきます。簡単に清掃できるため便利なアイテムに見えますが、使用する際は注意が必要です。

しかし実際には、油を分解せずに流しているため、周囲の環境に悪影響を与えるものもあります。グリストラップ洗剤の中には、環境にやさしいことをアピールして商品を販売している会社がありますが、農林水産省がその仕組みについて実験を行い検証したところ、水質汚濁に繋がる可能性があることが判明しています。

環境を守るためにも、グリストラップ洗剤などを使用してグリストラップ内に溜まった油脂分を排出することはおすすめしません。

グリストラップ本来の意味を考えてみよう

グリストラップは本来、下水に油脂が直接流れることを防ぐためのものです。油脂が下水に流れ込んでしまうと河川や海、土壌に悪影響を与えます。魚が住める環境がなくなってしまうばかりか、食用の魚から人体へも影響が出てきます。海岸へ流れていけば悪臭が発生したり、遊泳区域の水が汚染されたりすることも懸念されます。

自分たちが住む地域の環境を悪化させないためにも、グリストラップは重要な役割を果たしています。グリストラップから出るゴミを簡単に処理できるからという理由で、油脂を分解していない排水を下水に流すことは避けましょう。

グリストラップの存在を知らなかった人はまず清掃業者に相談

グリストラップについてよく理解しておらず、長年清掃してこなかった人は清掃業者に相談しましょう。清掃を行っていなかったケースで、急に清掃作業をすると体に負担がかかりケガをしてしまう危険性もあります。除去する油脂や汚泥が多いときときはなおさら、清掃中に腰に大きな負担がかかるかもしれません。

専門業者なら状況に合わせて、適切な方法でグリストラップをキレイにしてくれます。プロの技で素人では落とせない汚れや臭いを除去してくれますので、まずは清掃業者に相談した方が安心です。

まとめ

家庭では廃油の処理に固める方法があって便利ですが、グリストラップのような構造には向いていません。除去することは体に負担がかかる作業ですが、油をサラサラにして流す行為もよくありません。吸着シートで油を吸い取る方法ならば作業負担を減らすことができますが、油脂を吸い取った後のシートは産業廃棄物扱いです。

どのような処理にしても、グリストラップの清掃や処理作業は複雑で負担がかかります。そのような状況を解決するには、3~4か月に1回はプロに依頼してみるとよいでしょう。

プロの業者に依頼すると、市販の薬品や道具では落とせないような強い汚れや臭いを落とすことが可能です。プロに清掃を依頼したい場合は、経験豊富なアイエスジーに相談してみましょう。