グリストラップは仕切り板がないと役に立たない グリスと部品紛失・破損時の対処法
「グリストラップの仕切り板が破損してしまったが、放置してもよいのだろうか」と、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。仕切り板がないと、グリストラップ本来の機能を果たさなくなります。
すでに仕切り板を取り外してしまっていたら、すぐに対処する必要があります。仕切り板以外にも、その部品がないと「グリストラップを設置している意味がなくなる」というアイテムは多数あるため、破損した場合はすぐに対処しなければなりません。
そこでこの記事では、部品が紛失、破損したときの対処法をご紹介します。グリストラップの部品の役割を把握することで、グリストラップ本来の仕組みが理解しやすくなります。しっかり対処法をマスターして、グリストラップを長く維持できる管理体制を整えましょう。
グリストラップの仕切り板などの「一部」が破損したらどうするか
グリストラップの一部を破損した場合、グリストラップ本来の機能を果たさなくなるため、すぐに対処する必要があります。小さいヒビでも自己判断せず、交換が必要なのかどうか業者に相談しましょう。
仕切り板、バスケット、蓋のそれぞれが破損した場合にどのように対処すべきかを分かりやすくまとめました。
仕切り板が破損した場合
仕切り板は、グリストラップの油水分離の機能を効率化させるためのものです。仕切り板がなくなってしまうと油分と水分を適切に分離できなくなり、グリストラップを設置する意味がなくなってしまいます。
仕切り板が破損した場合は、グリストラップの部品販売店や販売も行う清掃業者に注文します。仕切り板の大きさによって費用は異なるため、見積もりを提示してもらって検討しましょう。
新しく代わりの商品を購入する場合は、大きさが適切かどうかを確認する必要があります。大きさが合っていないと、グリストラップ本体に取り付けできません。時間もコストも余計にかかってしまうので、注意しましょう。
バスケットが破損した場合
バスケットは、厨房からの排水に混入している大きな残飯や野菜くずといった生ゴミを受け止める役割があります。効率的に油分と水分を分離させるために、大きなゴミをバスケットに集めて取り除きます。
そのため、バスケットの目が広がっていたり、破損していたりするとグリストラップ全体にゴミが散らかってしまいます。油脂分や汚泥と混ざってしまうと「産業廃棄物」として処理することになるため、清掃の手間とコストが余計にかかります。
バスケットが破損したら、グリストラップ部品販売店や清掃業者・インターネット通販で注文できます。グリストラップのサイズによってバスケットのサイズも異なりますので、サイズを測ってから注文しましょう。破損しているのを見つけたらすぐに交換するのが最善策です。
蓋が破損した場合
グリストラップの蓋は「鉄」と「ステンレス」の2種類あります。鉄の蓋はサビに弱くすぐに劣化することが難点です。また、重量も思いため蓋の開閉から重労働を感じます。
一方、ステンレスの蓋は鉄の蓋の2倍以上の費用がかかります。しかしその分、サビに強く強度もあります。重量も鉄製よりも軽いため扱いが簡単です。リサイクルできることから、ステンレス製のほうが仕入れやすく破損してもすぐ注文できます。
蓋が破損したら、 悪臭や害虫の原因になります。また、大きな破損の場合は転落などの危険性も出てきます。蓋が破損したらグリストラップ部品販売店や、清掃業者に注文しましょう。インターネット通販での購入も便利です。サイズやメーカー・販売店によっても料金が異なりますので、注文する前にサイズを計測しておくとよいでしょう。
仕切り板などの各部品とグリストラップが油をキャッチする仕組み(3槽タイプ)
グリストラップは、3槽構造で厨房からの排水を油分と水分に分離します。グリストラップを設置する事業者は、3槽構造のそれぞれの槽がどのような役割を果たし、排水がどのように流れていくか理解しておくことをおすすめします。仕組みを知ることで、部品が破損したときに落ち着いて対処できるようになります。
1槽目での排水の流れと役割
1槽目では、バスケットという網のカゴで排水に混ざっている生ごみをキャッチします。残飯や野菜くずといった大きなゴミを取り除き、効率的に油分と水分を効率的に分離する役割を果たしています。
バスケットですくいきれなかった細いゴミは、沈殿させて流れ出ていかないようにしています。 大きなゴミが流れていくと「排水管が詰まる原因」になります。排水詰まりを防ぐために、バスケットで大きなゴミをキャッチしています。
2槽目での排水の流れと役割
2槽目では、1槽目でキャッチしきれなかった細かいゴミを沈殿させます。汚泥となって、グリストラップの底に溜まっていく仕組みです。外から確認することができませんが、汚泥は底にどんどん溜まっていくため、定期的に取り除く必要があります。
2槽目の水面には、油脂が浮上します。水分と油分が混ざり合わない性質を利用して、分離させます。油脂分は、3槽目に流れていかないように仕切り板でせき止めます。
3槽目での排水の流れと役割
3槽目では、2槽目では処理できなかった汚れをキャッチします。3槽目に流れてくるまでに、大きなゴミや目立った油分は除去してあります。それまでに取り除けなかったゴミを3槽目でさらに取り除きます。
汚泥は2槽目同様に底に溜まり、残った油分は3槽目の水面に浮上します。3槽目の先に流すための排水管は水中にあるため、水面の油脂や底の汚泥は流れ込まない仕組みです。そのため、最終的にはキレイにろ過された水が下水に流れ込みます。
グリストラップでの排水の流れが悪いときにやってはいけない対処法
グリストラップを店舗に設置していると、排水の流れが悪くなることもあるでしょう。流れが悪いときには、素人の思いつきで行動しないよう注意が必要です。
各部品が果たしている機能が落ちると、グリストラップは油分と水分を適切に分離する能力が欠如します。排水が悪いときにやりがちなNG行動をまとめましたので、内容を把握して適切な対処ができるようにしましょう。
バスケットの網を広げる
グリストラップ内部の流れが悪いからといって、バスケットの網を広げてはいけません。網はご飯粒さえも通さないように、基準を設けて開発されています。
その網を広げてしまうと、バスケットで取り除くべきゴミを除去できなくなり、2槽目以降に流れ込んでしまいます。その結果、汚泥の量が増えトラップ管が詰まる原因になります。汚泥が増えれば悪臭が発生しやすく、トラップ管が詰まると周辺環境に多大な迷惑を与えたりすることになるため、網は広げないように注意しましょう。
グリストラップの仕切り板を取り外してしまう
排水の流れが悪いときに、グリストラップの仕切り板を取り外すこともNGです。仕切り板を取り外すと、油をせき止める機能を大幅に低下させます。油分をせき止めることができなくなると、汚水のまま下水に流してしまう可能性があります。
油脂を含む排水がグリストラップの先の排水管に流れ込むと、詰まりを引き起こすだけでなく環境汚染にもつながります。また、詰まり解消には多大な費用が必要になるため、1つの部品を取り除く先にあるリスクまで配慮するようにしましょう。
トラップ管を外してしまう
トラップ管は、排水が流れる量や水位調整の役割を果たします。流れが悪いからといって取り外してしまうと、グリストラップをとおすことで効率的に流れている排水機能が低下するリスクが生じます。
またトラップ管は、油分と汚泥を取り除いた後の水をさらに残渣を取り除く役割もあります。そのため、トラップ管がなくなると、油分が下水に流れ込む危険性があります。地域によっては罰則の対象となるため、流れが悪くてもトラップ管は外さないようにしましょう。
トラップ管(蓋タイプ)の蓋を取り外してしまう
流れが悪くて、トラップ管の蓋を取り外す人もいるようです。蓋は臭いを閉じ込めておく働きがあり、蓋がなくなってしまうと臭いが流れ出てしまいます。
また、蓋を取り外すことは害虫発生の原因にもなります。排水管を通じて、ゴキブリやネズミが店内に入り込むかもしれません。細菌が繁殖したり、お客様を不愉快にしたりするため、蓋も取り外さずにそのままにしておきましょう。
清掃を怠って配管が詰まったら事業者に費用負担させるという自治体もある
グリストラップは、清掃を怠ると排水管詰まりの原因となります。万が一排水管が詰まってしまうと、そのお店近くの地域で下水道が使用できなくなる事態に陥ります。近くのマンホールから下水があふれ出てしまうような事態もあるかもしれません。
地域によっては、事業者に修理のための費用を請求します。例えば日向市では「本管詰まりが発生し原因者を特定した場合は、本管の清掃費用などを原因者に負担してもらう」と決まっています。無駄な費用負担をなくすためにも、定期的な清掃が必要です。
(参考:『日向市』:https://www.hyugacity.jp/display.php?cont=140313200708)
グリストラップの詰まりを防止するために定期清掃しよう
グリストラップの詰まり防止には、定期清掃が欠かせません。清掃せずに放置していると油分や汚れがあふれて、グリストラップ内の構造が役割を果たしません。
グリストラップを構成しているバスケットや2槽目、3槽目、トラップ管といった各部品を適切な頻度で清掃することがポイントです。清掃方法をマスターして、詰まりを防止しましょう。
グリストラップの清掃方法
各部分で、グリストラップの清掃ポイントが異なります。「どの部分を清掃するのか」「それぞれどのように清掃するのか」清掃頻度ごとに解説します。
毎日清掃する部分
第1槽のバスケットは、毎日清掃します。大きな生ゴミが溜まるため、放置すると悪臭が発生したり、害虫が寄ってきたりする可能性があります。飲食店にとって、悪臭や害虫発生は避けなくてはなりません。客席に届いてしまうと、お客様を不快にしてしまいます。
2~3日に1回清掃する部分
第2槽の水面の油脂は、2~3日に1回のペースで除去する必要があります。油脂が溜まりすぎると、3槽構造でろ過しきれなくなったり、あふれ出てしまったりするリスクもあるため定期的な清掃を心がけましょう。
また、第2槽に沈殿している汚泥も2~3日に1回が清掃頻度の目安です。バスケットに溜まっているゴミほどではありませんが、バスケットにゴミがある以上、底にも溜まっています。目視しづらい部分ですが、着実に汚泥が溜まっているため2~3日に1回は除去する必要があります。
月に1回清掃する部分
月に1回清掃する部分は、第3槽のトラップ管です。第3槽ではほとんどの油脂分が排除されている水が滞留している部分のため、清掃頻度が少なくて済みます。金タワシや油汚れを除去できるアイテムを使って手に届く範囲をキレイにしておくと安心です。
自分たちで清掃する必要がある部分
グリストラップ全部品の清掃を業者にすると、多大な費用がかかります。清掃頻度が高い部品は、自分たちで清掃するようにしましょう。
例えばバスケットに関しては毎日清掃を行う必要があるため、毎回業者に依頼するとコストがかさみます。専用のネットを使用すると、短時間でゴミを除去できます。また、バスケットのゴミは「生ゴミ」として一般のゴミと一緒に処理できます。業者に依頼する必要性が低い場合は、可能な限り自分たちでゴミを取り除いてコストを削減しましょう
業者に清掃を依頼できる部分
バスケット部分に関しては、生ゴミを捨てるだけなので業者に依頼する必要性は高くありません。しかし、第2槽、第3槽は油汚れがメインとなり、自分たちですべてを除去しようとすると大変です。
産業廃棄物に該当する汚れでもあり、適切に処理しようとすると手間がかかります。そのため、第2槽、第3槽の清掃処理は業者に依頼する人も少なくありません。ただし、毎回業者に依頼すると費用がかさむため、予算を考慮した上で定期的な清掃を取り入れましょう。
グリストラップのプロによる定期清掃が効果的な理由
グリストラップから排出されるゴミは産業廃棄物のため、処理が大変です。完璧に清掃しようとすると、 手間や時間がかかることを考慮しておく必要があります。何かと労力がかかるグリストラップの清掃は、プロの業者に依頼することが効果的です。効率的に店舗を運営していきたいのであれば、業者への依頼も検討してみましょう。
費用対効果が高い
グリストラップの清掃を業者に依頼すると、高い費用対効果が期待できます。清掃度合いと、清掃にかかる時間や手間からコストパフォーマンスを確認しておきましょう。
清掃度
プロの業者は素人仕事とは異なり、頑固な汚れもピカピカに落としてくれます。スタッフのみではグリストラップのトラップ管は手の届く範囲でしか清掃できませんが、プロなら専門の器具を用いて徹底的にキレイにしてくれます。グリストラップの壁面にこびりついた油汚れも、しっかり落とす技術を備えています。
かかる時間と手間
自分たちだけで清掃完了させようとすると、大きな手間や時間がかかります。素人なので慣れない業務である上に、グリストラップの形によっては危険も伴います。業者に掃除してもらえば、専用道具を使って短時間で処理してくれます。また、本来の業務に集中できるため、料理やサービス内容を向上させる時間が作れるようになります。
プロに処理してもらっているという安心感
業者に依頼するためには、産業廃棄物処理業の許可を受けている業者を選定する必要があります。また、複数の地方自治体に店舗がある場合は、広域対応事業者を選択することがポイントです。
業者の選定に時間や手間が多少かかるかもしれませんが、プロに処理してもらうと安心感があります。「産業廃棄物法違反」を心配せずに処理をお願いでき、不安な点があればプロの知識を借りられるのも魅力です。
プロによるグリストラップ清掃の例(アイエスジーの場合)
プロの業者にグリストラップの清掃を依頼するメリットがたくさんあると理解できても、実際に依頼してみないとわからない部分も多いでしょう。どのようなケースでプロの清掃が役立つのか、不明確ない人もいるかもしれません。
コバエや臭い、詰まりが生じたときにアイエスジーで対応した清掃事例をご紹介します。
コバエが気になるグリストラップの例
茨城県取手市の温浴施設内食堂のグリストラップの事例です。食中毒を発生させないように定期的な清掃を行っていましたが「コバエの発生が気になる」とご相談いただいた事例です。
清掃手順としては、素人では難しい業務もありました。グリストラップの蓋を開けて、槽内・バスケット・仕切りを磨きます。その後に、バキュームホースで汚泥を吸引しました。素人がバキュームを使用するのは大変です。しかし、プロの腕でグリストラップの縁やバスケット、底までしっかりと磨いてキレイな状態へ戻しました。
臭いが気になるグリストラップの例
「臭いが気になる」とご依頼いただいたのは、東京都新宿区8階建てビルの5階にある焼鳥屋さんです。グリストラップの形は厨房内の埋め込み型で、縦150センチ×横60センチ×深さ10センチ程度のサイズでした。
店舗は5階にあるため、エレベーターを使って吸引した容器を地上まで下す必要がありました。そのため、持ち運びできるポータブル式の機器をエレベーターで店舗まで運び清掃しました。まず、一般的な方法でグリストラップのバスケットと壁面清掃し、次にポータブルバキューム機で汚泥を吸引します。
吸引後は、ポータブル容器をエレベーターで地上まで降ろす作業です。地上5階から吸引した容器を地上まで下すのは、素人では難しい作業でしょう。その後、ポータブル容器内の汚泥をバキューム車のホースで吸引して、清掃作業は完了しました。
何度も詰まりを起こしたグリストラップの例
「グリストラップの詰まりにお困り」でご依頼いただいたのが、千葉県千葉市の複合施設の飲食店でした。グリストラップの排水管内に油脂分が固着していて、簡単には除去できない状態です。
高圧のホースを配管の点検口から入れる必要があるため、素人が清掃するには難しい作業です。油汚れを完全に除去するために、高圧の水で排水管内の清掃を行いました。 清掃完了後には「臭いが気にならなくなりました」といった、満足した声もいただいています。
長年放置していたグリストラップの例
千葉県市川市にある市立幼稚園のグリストラップは、長年清掃しないまま放置してありました。この幼稚園のグリストラップは、屋外設置型です。素人では無理な清掃ではありませんが、女性が多い幼稚園職員では難しい部分もあるでしょう。
子供の健康を管理するためにもアイエスジーの清掃を取り入れたところ、とてもキレイになり、衛生環境を取り戻せました。精査せずに放置してしまうと、どうしても汚れが溜まってしまいます。グリストラップを清潔に保つには定期的な清掃が必要です。
グリストラップの悩みをプロに相談してみよう
グリストラップを設置すると、グリストラップに関連した悩みが出てくるものです。排水が詰まってしまったり臭いが気になったりした場合に、そのまま放置しておくと状況は悪化する一方です。
素人のみで清掃をしようとすると危険が伴ったり、手間や時間もかかったりします。まずは、抱えている悩みをプロの業者に相談してみましょう。悩みによっては安価で清掃してもらえるケースもあります。 相談だけで費用がかかることはないため、まずは気軽に相談してみましょう
まとめ
グリストラップの仕切り板を破損したら、業者に注文してすぐに交換しましょう。仕切り板がなくなると、グリストラップ本来の油脂と水分を分離する機能が低下します。設置する意味がなくなるため、迅速な対応を心がける必要があります。
仕切り板などの部品以外にも、臭いや害虫発生といった悩みを抱えている人もいるでしょう。素人の手でグリストラップを徹底的に清掃することは難しいものです。まずは業者に相談して、どのような対応が可能なのか確認してみましょう。
アイエスジーは実績豊富なプロの業者なので、さまざまなお悩みを解決できます。グリストラップに関することは、お気軽にご相談ください。