罰則に注意!グリストラップの汚泥排出事業者とその責任とは?

飲食店の厨房の排水をきれいにして下水へ流すのに欠かせないのが、グリストラップです。排水から分離させた汚泥は適切に処理する必要がありますが、責任が誰にあるのか分からないという方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、グリストラップの「汚泥排出事業者」は誰なのかについて解説します。廃棄物処理法の内容もご紹介するので、法を遵守した健全な飲食店経営ができるでしょう。ぜひチェックしてみましょう。

グリストラップの汚泥排出事業者とは何?誰がなるの?

グリストラップを利用するときに気になるのが、排水から分離した「汚泥処理の責任者は誰」なのかという問題です。清掃や運搬・収集を依頼した清掃業者なのか、それともグリストラップを設置している飲食店なのか、疑問に思う方もいることでしょう。ここでは、「排出事業者」とは何か、誰が該当するかについて解説します。

排出事業者とは?

「排出事業者」とは産業廃棄物を出す者を指します。排出事業者には「排出事業者責任」が発生し、産業廃棄物を最後まで適切に処理しなければなりません。清掃業者に処理を委託しても、排出事業者責任は産業廃棄物を出した側にあります。つまり、廃棄物に対し不適切な行為があった場合は店舗や施設側に責任が発生します。

産業廃棄物を処理する業者や運搬業者が取り扱いに違反した場合、排出事業者にも罰則があります。「処理するのは業者だから責任は業者にある」という考えは誤りです。実際に産業廃棄物を出している以上は排出事業者と見なされ、法律的にも責任が生じます。自らが排出事業者であることをしっかりと自覚して、適切な処理を行いましょう。

排出事業者になるのは誰?

グリストラップで発生する汚泥は産業廃棄物扱いとなるため、設置している飲食店は排出事業者になります。よって、汚泥の処理責任も飲食店に課されます。

汚泥を最終的に処理するのが清掃業者だからといって、排出事業者責任が移るわけではありません。清掃業者は排出事業者が委託した運搬業者にすぎません。「業務を委託しているから自分は関係ない」「廃棄物に関しては清掃業者の仕事」と考えるのは危険です。

飲食店経営が本業の方たちは「産業廃棄物は管轄外」と思うかもしれません。しかし、実際は自店から出たものの処理は自店の責任となります。清掃業者に処理を任せる場合も、どのように処理したか確実に確認しましょう。

覚えておきたい!廃棄物処理法のポイント

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、通称「廃棄物処理法」によって産業廃棄物は事業者自らが処理しなければならないと規定されています。ほかにも、処理や運搬をする際には定められた基準に従わなければならない、といったようなことが細かく定められています。

誤った処理をすると法律に触れることになるため、廃棄物処理法のポイントをしっかりと押さえて適切な処理をすることが重要です。

産業廃棄物は適正に処理しなければならない

産業廃棄物の扱いについては法律でさまざまな規定が定められており、適正に処理しなければなりません。「処理」とは、廃棄物処理法に基づいて産業廃棄物を収集運搬・処分することを指します。法律で定められたとおりに処理しなかった場合、重い罰則が科されるケースもあります。

よくある違反の例が、汚泥を産業廃棄物ではなく一般廃棄物扱いでごみに出すことです。グリストラップで発生した汚泥をそのままごみ袋に入れて、事業用のごみとして出すのは法律違反になります。「知らなかった」では済まされないので注意しましょう。

気を付けたいのは、従業員がグリストラップの清掃をする場合です。店舗の責任者が汚泥処理の仕方を理解していても、従業員が知らないと法律に違反する恐れがあります。汚泥の処理に関しては従業員にも周知することが必要です。

事業者は産業廃棄物を自らの責任で処理しなければならない

グリストラップの汚泥処理は、設置している店舗・運営側に排出事業者責任が生じるため、自らの責任で処理しなくてはなりません。排出事業者の責任は重く、誤った処理をした際には罰則が科されます。

汚泥処理をグリストラップの清掃業者に委託すると、清掃業者に排出事業者責任が移ったかのように思いがちですが、実際には責任が移ることはありません。そのため、清掃業者が法律に基づいた適切な処理をしなかった場合、清掃業者だけではなく汚泥を排出した店舗側の責任も問われます。

収集運搬・処分を委託できるのは許可を受けた産業廃棄物処理業者のみ

グリストラップで発生した汚泥の処理は、許可を受けた産業廃棄物処理業者しかできません。委託した清掃業者が産業廃棄物の収集運搬に関して許可を受けていなかった場合、排出事業者にも罰則が科されるので注意しましょう。

事実、許可を得ていない業者に収集運搬を委託して、運搬業者とともに排出事業者が逮捕される事例が発生しています。汚泥の処理を頼む際には、運搬・持込の許可を得ているかどうかを確認して清掃業者を選びましょう。

また、「安いから」という安易な理由で清掃業者を選ぶのは危険です。「どのような業者か」「過去にどのような実績があるか」「許可を得ていることを公表しているか」という項目をホームページでチェックして、信頼できる業者かどうかしっかりと見極めましょう。

処理を委託する業者とは委託契約を書面にて交わす

汚泥処理の契約には、収集運搬する清掃業者と汚泥を最終処分するための加工処理をする中間処理業者の2者と委託契約を締結する必要があります。契約書には、収集運搬業者と処理業者の許可書コピーを添付し、5年間の保管が義務付けられています。委託契約書には許可書のコピー以外に、以下の情報を記載します。

・廃棄物はどのような種類のものか
・廃棄物の排出量はどのくらいか
・清掃業者にどのような処理を委託するのか

などの内容を明らかにして書面に記載し、収集運搬業者と中間処理業者と契約を結びます。収集運搬を担う清掃業者は、委託契約書の内容に基づいて産業廃棄物を中間処理場に運搬します。一方の中間処理業者は、汚泥を埋め立てに適した状態にして最終処理場と契約している収集運搬業者へ引き渡します。

・二者と契約
排出事業者と収集運搬業者、排出事業者と中間処理業者

・書面契約
口頭ではなく書面で契約を交わします。

・許可証の写しを添付すること
収集運搬業者と中間処理業者が産業廃棄物の処理に関して許可を得ていることを証明するのに必要です。

・必要な項目の盛り込み
法律で必要な項目の記載が定められています。

・5年間保存
一連の処理が終了してから5年間の保存義務があります。

書面に記載する内容は、法律で定められている項目と一般的な項目に分かれます。実態に則した内容を記載しましょう。

(参考:『全国産業資源循環連合会 ホームページ』

処理業者が委託内容通りに処理したかを確認しなければならない

締結した契約書の内容どおりに、委託業者が汚泥を処理したのか最終的に確認する必要があります。委託した業者が法律に違反する方法で処理した場合、排出事業者も罰せられます。それを防ぐために「マニフェスト」があります。

マニフェストとは、産業廃棄物を適正に処理したかどうかを確認するための書類です。どの業者がどのように運搬・処理をしたか記録されています。

例えば、清掃業者は収集運搬を委託されている業者なので、排出事業者から受け取った産業廃棄物を中間処理業者へ渡したかどうかが記載されています。一方、中間処理業者は処理を受託した旨と最終処理を委託したことを記載します。

マニフェスト は「運搬車」「運搬先」「廃棄物の種類」それぞれに交付することが義務付けられています。これにより、委託した内容や法令に基づき適正な処理が行われたことが確認できます。

これらの法律を無視すると排出事業者も罰則を受ける

産業廃棄物の処理に関する法律を無視した場合、委託業者たちだけではなく排出事業者も罰則を受けるので注意しましょう。

許可を受けている清掃業者に処理を委託しても、その業者が不法投棄をしたら委託した事業者側にも責任が及びます。「許可したのは行政だから、行政側に責任がある」と感じても、現行の法律では通りません。そうならないためにも、マニフェストの発行が重要になります。

罰則を受けた場合、怖いのは信頼やイメージに傷がつくことです。飲食店はイメージが悪くなると顧客が離れ、店の存続が困難になるかもしれません。排出事業者という自覚をもって対応することが大切です。

廃棄物処理法違反の際の主な罰則

産業廃棄物に関する罰則には「投棄禁止違反」「委託基準違反」「管理票交付義務違反」「法人等に対する両罰規定」といったものがあります。違反すると重い罰則が科され、飲食店の経営が困難になる恐れがあります。ここでは、4つの違反と罰則の内容について見ていきましょう。

投棄禁止違反

廃棄物をみだりに投棄したときに罰せられる違反です。グリストラップの汚泥は産業廃棄物のため、一般廃棄物や家庭用ごみとして処理すると罰せられます。また、山に捨てたり道路にばら撒いたりといった不法投棄もしてはいけません。

投棄禁止違反をした場合、「5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこの併科」となります。重い罰則が科されるので、今後の飲食店経営が難しくなるかもしれません。

なお、不法投棄が未遂に終わった場合も罰則の対象となります。廃棄方法を知らなかったでは済まされません。店舗の責任者として、全従業員に適切な処理方法を周知することが必要です。

委託基準違反

無許可の業者へ廃棄物の収集や運搬、処分の委託をした場合に罰せられる違反です。委託先が無許可の業者だと知らなかったとしても、委託した時点で違反となるので注意しましょう。

委託基準違反となった場合、「5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこの併科」の罰則を受けます。委託基準違反を犯さないためにも、委託契約を結ぶ際には清掃業者と中間処理業者の許可証コピーをもらうことが重要です。許可を得ているかどうか確認することは、自店を守ることにもつながります。

また、価格だけで委託業者を選ぶのも危険です。安く請け負っているという要素だけにとらわれずに、実績やノウハウ・信頼度を入念に調べてから委託しましょう。

管理票(マニフェスト)交付義務違反

排出事業者が産業廃棄物管理票(マニフェスト)を委託業者に交付しない・記載漏れ・虚偽記載といった行為をした際は、管理票(マニフェスト)交付義務違反になります。マニフェストの発行は法律で定められています。排出事業者の責任で発行する必要があるため、確実に交付しなければなりません。

違反した場合、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります。それほどマニフェストの発行は重要で、確実に交付することが求められます。行政側もマニフェストの適切な発行や処理を重要視しています。以前は「6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金」でしたが、平成30年4月1日の改正で、より厳しい現在の罰則になりました。

(参考:『日本産業廃棄物処理振興センター』

法人等に対する両罰規定

法人の場合、法人の従業員が業務に関して投棄禁止違反・委託基準違反・管理票交付義務違反をしたとき、法人に対しても罰則を科すという内容です。罰則内容は以下のようになっています。

・投棄禁止違反の場合
3億円以下の罰金

・委託基準違反、管理票(マニフェスト)交付義務違反の場合
それぞれの規定で定める罰金

店舗の責任者が法律を守っていても、従業員が法律違反をした場合は法人に罰則が科されます。適切な処理を行わないと罰せられることを従業員全員に周知することが大切です。産業廃棄物の処理を誰が担当してもいいように、日ごろから教育を徹底しましょう。

まとめ

グリストラップの汚泥は産業廃棄物扱いです。処理を委託しても飲食店には排出事業者責任が生じ、法律に基づいて適切な処理をしなくてはなりません。また、清掃業者や中間処理業などの委託業者が不法な処理をした場合でも排出事業者には罰則が科されます。そのため、グリストラップの清掃業者選びは慎重に行う必要があります。

アイエスジー株式会社は、今まで蓄積したグリストラップの汚泥処理に関する実績やノウハウ・知識を有しており、法律に基づいて適切な処理を実施します。作業前後の報告書や、処理が適正に実施されたことを証明するマニフェストの作成も確実に行うので安心です。

アイエスジーでご契約いただけると、中間処理業者への契約も代行いたしますのでより手間が省けます。グリストラップの汚泥処理は、信頼して委託できるアイエスジー株式会社にお任せください。